８３年 関根監督
 

この年は、読売が開幕から独走したもので、夏頃広島がちょっと追い抜いたくらいで一年をとおして波乱はなかった。なんせ勝ち越したのが読売と広島だけ。他の４球団はずーっと下の方をうろうろしていただけであった。そんな中、大洋は終盤戦にこそっと得意の消化試合で張り切って、５割（横浜大洋最後の５割でもある。）で３位という好成績にすべりこんだ。しかも独走読売に勝ち越して完全優勝を阻んだものである。

省みれば、投手陣は、遠藤と斉藤がそれぞれタイトル奪取。金沢がローテ定着に加え２００勝平松、門田がいる。打撃陣にしても斉藤巧とのごっつあんトレードで獲得したレオン・リーとトレーシー・ローズに長崎、田代がからむクリーンアップと高木豊、屋鋪の定着に加え、高木由と基の代打陣が共に打率３割とくれば、相当充実した戦力であったといえよう。高木豊は、前年から外野の準スターターとして随時出場していたが、今年、外様の基を無理矢理追い出してセカンドに定着したところ、十分期待に応えたものであり、以降、大量斬首事件に連座するまで、横浜大洋の顔であった。なお、豊はこの年だけスイッチヒッターであり、６月５日の阪神戦ではサヨナラ満塁セーフティーバントなどという離れ業も演じている。

平松は、後楽園球場（屋根なし。両翼の距離はインチキ。）での今年最後の読売戦において先発し、雨野投手の好リリーフを仰ぎ（←雨天コールド）、２００勝を達成した。審判の「コールドゲーム」の宣告を待っていたようにマウンド上でガッツポーズをする姿は、なんともカッコわりぃものであったが、これも大洋らしいというべきか。（関根監督は球審に「分かってるんだろうね平松が投げてるの」「「早くゲームを終わらせなよ。」とプレッシャーを掛け続けたらしい。）遠藤は１２連勝を含む１８勝で見事沢村賞他防御率も２位（阪神福間が最終戦にて規定投球回数を満たしてしまった。）と日本を代表する投手となった。また、１２球団からの勝利に３年間もリーチを掛け続けた古賀（太平洋→ロッテ→読売→大洋）が１０月４日に読売から勝利し、野村収（大洋→ロッテ→日本ハム→大洋→阪神：５月１５日大洋戦で達成。）に続いて記録を達成した。

投手といえば、みぎちゃんまん右田に触れないわけにはいかない。前年度ドラフト1位で籤引競合で勝って入団。結局ファームのローテの柱に終わったが、今年は違った（はずだった。）抜擢の開幕第２戦の読売戦で先発し、駒田の初打席満塁本塁打の栄誉にあずかった。そのご褒美で早速今オフには、ドラフト１位では異例の２年目にて白熊欠端との交換でロッテに栄転したのである。久保は１０試合連続登板のセリーグ記録を作った。

また、若菜が阪神から事実上の国外追放処分をくらった後に半年で大洋入り(７月１日）した。帰国直後は、内野ゴロで全力疾走するという考えられない姿を披露したこともあった。辻の故障に頭を痛めた関根監督がアメリカにいた若菜に電話し交渉したとのこと。球団は契約前に兵庫県警に照会しシロだったので契約したとの当時らしいエピソード？も。

このころ、秋季キャンプは伊豆の伊東でやっていた。これは、元読売コーチである関根が読売のマネをしたものであろうか？なお、加藤博一と交換で放出した野村収は阪神で見事復活し12勝をあげている。

関根監督の自著によると「８３年８月には、長嶋君の監督就任は９分どおり決まっていたのである。ところが２ヶ月あまりの間に状況は一変し、大洋入りを断念する。」とある。結局また関根が続投することとなった。
 

順位	チーム名	監督	横浜大洋対戦成績
１	読売	藤田	１３（２）１１
２	広島	古葉	９（３）１４
３	横浜大洋	関根
４	阪神	安藤	１１（１）１４
５	中日	近藤	１２（１）１３
６	ヤクルト	武上	１６（１）９

タイトル：遠藤最多勝、最多奪三振、沢村賞、斉藤明最優秀救援

ベストナイン：遠藤

ダイヤモンドグラブ：高木豊、山下

打率ランキング：６位高木豊、１０位長崎、１１位トレーシー、２２位レオン、２３位屋鋪、３０位山下、３５位田代

防御率ランキング：２位遠藤、１４位平松、２１位金沢

＜その他の記録＞

山下最多打席・最多二塁打、高木豊最多三塁打、遠藤最多完投・最多勝利・最多奪三振・最多ボーク、斉藤最多交代完了・最多セーブ・最多セーブポイント、金沢奪本塁打王

チーム成績

チームリーダー

開幕オーダー
 

メンバー

1山下 大輔
2レオン
3高木 豊
5基 満男
6高木 由一
7長崎 啓二
8辻 恭彦
9若菜　嘉晴
10福島 久晃
11堀井 幹雄
12関根 浩史
13佐藤 政夫
14増本 宏
15門田 富昭
16右田 一彦
17斉藤 明夫
18広瀬 新太郎
19久保 文雄
20トレーシー
21大畑 徹
22加藤 博一
23菊池 恭一
24遠藤 一彦
25古賀 正明
26田代 富雄
27平松 政次
28西村 博巳
29加藤 俊夫
30山口 忠良
31屋鋪 要
32高橋 雅裕
33市川 和正
34薬師神 繁男
35前泊 哲明
36小山 昭晴
37五月女 豊
38河野 誉彦
39高浦 美佐緒
40竹之内 徹
41吉本 博
43村岡 耕一
44竹内 宏彰
45大久保 弘司
46山崎 賢一
47竹下 浩二
48与座 朝勝
49金沢 次男
50平川 洋幸
51石橋 貢
52杉永 政信
54江幡 和志
55西山 茂
56北 安博
57武田 康
58山中 博一
59山根 俊英
60稲川 誠
61三浦 正基
62香川 正人
65小森 光生
66浅利 光博
67稲葉 進
68新井 克太郎
69茅場 孝史
70池田 英俊
71関根 潤三
72松原 誠
73近藤 和彦
74米田 慶三郎
75田村 武雄
76小谷 正勝
77伊藤 勲
78松岡 功祐
82山本 恒敬
84三浦 正行
86松島 英雄
88笠原 敦郎
89松盛 茂
91江尻 亮